(特非)日本空手道不動会 会長補佐事務長 伊藤聡
私が空手を始めたきっかけは『いじめ』です。
中学生の頃の私は、身体も小さく、気も弱く、泣き虫でした。それでいて生意気だったせいか、よくいじめられました。
ある時、私がいじめられて家に帰ると父から「お前は弱すぎるから空手を習わせる」と言われ、父に言われるがまま本部道場に通うようになりました。
始めた頃は、週3回の練習が嫌で嫌でたまらなく、言い訳をしては休んだりもしました。
しかし、級が上がるにつれしだいに体力もつき、自分が少しずつ強くなっているのを自覚するようになり、休まずに続けてみようと思うようになりました。
当時の不動会は、まだ道場も少なく発展期だったので、支部開設が盛んに始まった時期でした。
お蔭で近くに道場がオープンしてそこに移ったのですが、何しろ出来たばかりの道場のため、本部道場から移った3人以外は全て初心者でした。
その3人の中でも私が一番上級者だったので、号令や指導などを任され、益々空手を続けていかなければならない状況になりました。
しかし、その結果、身体も丈夫になり気弱な性格も直すことができました。
その後、18歳で指導者になり、勉強もできなかった私が一館長として日々、練習生を指導していることが今は何よりの誇りです。
空手を始めるにあたり、それぞれ色々な理由があるかとは思いますが空手により私の様な軟弱な『いじめられっ子』でも自分を誇れる人間になれたことは間違いのない事実です。
もし、この文章を読み、自分も変われるかな??と感じてくれる人がいて、空手にかぎ限らず「“何か”に打ち込んでみよう」と思っていただければ幸いです。
又、その“何か”を始めることができれば、まさにそれが『きっかけ』です。
最後に、私に「きっかけ」を与えてくれた今は亡き父に又、自分に自信がつくよう指導してくれた館長や仲間に敬意を表すと共に心より感謝申しあげます。