日本空手道不動会

title
健康について その2

(特非)日本空手道不動会 副会長 坂本秀雄


こんにち、子供たちの精神・健康面が大きな問題になっています。
その原因の1つに、食生活の欧米化があげられるそうです。そこで古き日本の精神・健康面が分かる、こんなお話を紹介します。次の文はある本から抜粋したものです。


 文明開化の頃、日本に外国人が来るようになりました。

大変珍しかったのでしょう、日本についていろいろな手紙や日記が残されています。

それを見てみると、いくつか同じ事が書かれていました。それは何かというと“日本人は小柄だけど、これほど健康で体力のある民族は見たことがない”という内容です。

どれくらい小柄だったかというと、士農工商あわせた日本人の平均身長は20歳の男性で5尺1寸2分(155.5cm)、女性がだいたい140cm台で、148とか147という数字が、いろいろな人類学者の記録から出ています。

体力という点では、人力車の車夫は1日50km走っていたようですが、マラソンより長い距離を人を乗せた車を引いて走るわけですから、相当な体力があったと思います。

 また、こんな話もあります。日本に西洋医学をもたらした医者の一人にベルツという人がいたのですが、そのベルツが東京から日光に遊びに行った時、馬を6回取り替え14時間かけて辿り着いたそうです。行くほうも相当健康じゃないといけない時代でした。もう一度行くことになり、たまたま人力車に乗っていたら車夫が「自分がそこまで連れてってやろう」と言い出したそうです。東京から日光までは120km近い距離があります。それをなんと車夫一人で14時間半!馬より30分余計にかかりましたが、馬は6回取り替えたのに人力車の車夫は一人で走ってしまったのです。これに驚いたベルツはその後、人力車の車夫を2人雇い、その食生活からすべてを観察し、研究したといわれています。

現在、私たちは物に恵まれ、昔の人に比べると非常に健康で体力があると錯覚してしまいがちですが、これだけの距離を歩ける人はなかなかいないと思います。しかし、昔の日本人はこの事について誰も書き残していません。当たり前過ぎることだから誰も記録に残さなかったのでしょう。

当時、黒船に乗ってきたペリーは6尺1寸という記録が残されていますから、180cmをゆうにこえて超えていました。それに比べるとやはり日本人は、随分随分小さかったわけです。

それで何とか日本人も大きくなりたいと小鹿島果(おが しまみのる)という人が『日本食志』という本を書きました。その本の序文を書いたのが長与専斎(ながよ せんさい)という人です。その長与専斎は現在使われている言葉でいう“衛生”という言葉を日本で最初に使い始めた人です。その序文の中で「日本人の体は小さくて欧米人の体は大きい」「体が小さいと精神が不活発だ」とこう書かれているのです。欧米人が大きいというのは事実ですが、体の大きさと精神はまったく別で明らかに間違いです。しかし、体をなんとか大きくしたかったわけで、このころから益々欧米化が進んでいくようになりました。

続きは健康についてその3で・・