— 不動会について —
日本空手道不動会のあゆみ
1948年、昭和二十三年のとある夕暮れ。島根県松江城内の護国神社境内。幼くして父を亡くし、貧乏のどん底にあった七歳の少年の好奇心は、大人たちが集まり稽古をする、生まれて始めて目にしたその何とも魅力的な武術に釘付けとなりました。約八十年前のその時、初代宗家の空手道との出会いの瞬間です。その後、毎日のように通い詰め、熱心に稽古を覗く少年に、そこを主宰する師は、大人にしか指導しない慣例を曲げ、特別に指導をしてくれたそうです。
それからというもの少年は、貧しさ故の「飢えや差別」と戦いながらも、夢中で稽古に明け暮れました。少年が突きや蹴りを打ち込んだ稽古相手の大木は、その部位が大きくえぐれるほどだったそうです。それから十年、少年は十七歳に成長し、すでにその若さで、護国神社境内稽古場の主になっていました。その頃の初代宗家に出会った当時のお弟子さんの話では、初代宗家は突出した存在で、礼儀正しく、魅力的な人格を持ち、ずば抜けて強かったそうです。
そして時は流れ1969年、昭和四十四年に初代宗家は、それまでの幾多の歩みと空手人生に、けじめと区切りをつけるべく、この不動会を誕生させました。その翌年には、豊田市大林町に本部道場を完成させ、そこから各地にプレハブの専門道場を、まさに「生き馬の目を抜く」勢いで、次々と建設してゆきました。それらの道場を初代宗家から任された先輩館長たちは、使命感に燃え、滅私奉公、苦楽を共にし、必死になってがんばって、今の不動会の礎を築いてくれました。立ち上げ時、初代宗家ですら若干28歳という、若武者集団不動会のパワーみなぎる創世記。永遠に語り継がれる、我らが誇りとする時代です。その頃すでに「不動会館」も、皆で夢見る構想にあったというから驚きです。また、そうした若い力と情熱が生かされ、発揮できる環境は、初代宗家のご理解や高弟方のご指導と、後に続く若い力の活躍もあり、今や不動会のお家芸となりました。
更に時は過ぎ、平成六年四月、法人化と空手道普及活動の為の総合施設「不動会館」建設を見据えた事業計画が立てられ、資金の積立てが開始されたことで、事実上「不動会館」建設事業が始動いたしました。また、法人化により、会館建設資金は前身団体より寄付という形で法人に移行されました。その後の目覚ましい事業活動の発展、平成十五年度末の特定非営利活動法人認証、平成十六年度からの法人化による活動環境の改善にも後押しされ、同時期より候補地探しが始まりました。幾多の困難はありましたが、ご支援をして下さった有難い皆様のお陰と指導者たちの並々ならぬ努力、不動会創設以来の強運も相まって、アクセスも便利な東名高速豊田インター付近バイパス沿いという恵まれた地に辿り着くことができました。
それから、様々な手続きを経て、ついに平成十七年六月「不動会館」完成の日を迎えることができました。我々はこの会館建設事業を通じても、多くの方々が我々の活動に対して、「敬意」と「好意」を持ってくれていることを実感することができ、非常に嬉しく、また励みとなったことを心より感謝いたしております。またそれらは、まじめにこつこつ活動し、この規模になるまでがんばってきた不動会の歴史と実績に対する信頼や信用と受け止め、これからも誠実に歩んでまいります。
そして何より、不動会会員とご家族の皆様、各方面でそれぞれのお立場がありながら暖かく支援してくださる皆様、とても好意的にお付き合いくださる取引先の皆様、個人でありながらも損得抜きで応援してくださる皆様、不動会はそういった皆様のお気持ちに「支えられながら」「勇気付けられながら」「励まされながら」活動をさせていただいておりますことに心より感謝申し上げます。
平成二十二年には代が替わり、平野泰作が二代目宗家 平野不動を襲名いたしました。
これからもより一層の社会貢献を目指して、自らのことは「メリット」でなく「モラル」(道理・道徳・倫理)を判断の基準とし、世の中や各地域の皆様に貢献ができるよう「信念」と「誠意」をもって活動してまいります。
特定非営利活動法人 日本空手道不動会
所在地
法人役員
理事
平野泰作(宗家・理事長)
鬼頭伸生 後藤史生 羽根田和也 伊藤 聡 井手晴彦 幅岸忠義 山本松人 塩田 匡 松岡秀樹
監事
福島達也
活動理念
特定非営利活動法人 日本空手不動会は、「空手」の修練と「道」の実践を通じて、心身鍛練・精神修養・人格形成の場である「道場」の普及活動とその指導者及び道場生の育成を通じて人を育て、地域社会に貢献し、国を善くする指導者集団・師弟集団であることを組織の活動理念としております。
道場訓
(長上を敬し / 謙譲の美徳を忘れざること)
段位や称号、成績、長幼の差など様々な違いのある人が集う道場だからこそ、お互いに長所を見つけ合い、認め合うこと
(心身を錬磨し / 武の神髄を極めること)
他人の気持ちを理解し、その人の立場や状況に配慮する心を持ち合わせて、武道の強さについて深く考えること
(空手道を通じて / 生涯の修行となし / 人の道を全うすること)
空手道から学んだことを、道場の外で活かして豊かな人生を送ること